出雲そばへのこだわり

出雲そばとは

出雲そばとは、そばの実と甘皮まで全て挽いた「挽きぐるみ」と呼ばれるそば粉を使用します。 そのため色が濃く香りと風味が強いのが特徴です。かめばかむほど味わいのあるそばを楽しまます。 そして、食べ方も独特で「割子そば」「釜揚げそば」が出雲ならではの食べ方です。だしの効いた醤油ベースのそばつゆをかける「割子そば」、 茹で上げたアツアツのそばを盛り、その中に釜湯の中の「ゆで湯」を注ぐ「釜揚げそば」、どちらも出雲でぜひ、味わって頂きたい代表的なそばです。

割子そば(わりごそば)

丸い漆器の器にそばを盛り、三段重ねの器で提供される「割子そば」は出雲そばの食べ方。 大根おろし、ねぎ、かつお節、のりといった薬味をお好みでそばに盛りつけ、そばつゆを直にかけて食べます。だしのかけ過ぎは、 そばの風味が失われてしまうので、だしはかけすぎないのがポイントです。のどごしを楽しむより、そばの香りを楽しんで食べるのが、出雲そばの流儀です。。

割子そばの食べ方

器を重ねたまま一段目のそばの薬味をのせる。

つゆを器に直にかけて、一段目から食べる。

一段目を食べ終えたら、二段目に薬味を散らし、一段目のつゆと好みに応じてつゆを追加して食べる。

釜揚げそば

釜揚げそばは、釜から茹で上げたそばを、水洗いせずに、そのまま丼に盛りつけ、その中に茹で湯の「そば湯」も注ぎ入れます。甘辛いかけ汁を自分好みの加減にかけて、かき込んで食べてゆきます。そばの香りと甘辛いつゆと好みの薬味のコラボレーションで寒い冬場には、ゆったりとお腹の中におさまります。日本のそば処の中でも珍しい食べ方といえます。

釜揚げそばの食べ方

そばの麺を茹で上げ、その上に茹で汁を器に注ぎます。薬味を添えて、お好み量のそばつゆを入れてお召し上がりください。

文化と歴史

割子そばのルーツは江戸時代までさかのぼり、「不昧流」を起こした茶人お殿様、松江七代藩主「松平治郷」 は領地の出雲で採れたそばを好み、武士の割合弁当箱(重箱)にそばを入れた事が始まりとされています。 当時の割子は、四角いものや、ひし形のもの、形は様々でした。現在の丸い漆器の形になったのは明治時代、松江警察署の発案であると言われています。

出雲そばへのこだわり

そば粉は全て挽きたて、自家製粉

「そば庄たまき」は昔から、収穫された「そばの実」の芯から甘皮まで全てを挽き込んだ一本挽きの自家製粉です。 全粒粉を使った蕎麦は、栄養的にみましても食物繊維が豊富で、ルチンに代表されるポリフェノールたっぷりの身体に嬉しい健康食品です。 何よりも挽き立ての香りや、打ち立ての味を守りたい思いから一貫した自家製粉を続けています。

石臼一本挽き

昔ながらの石臼挽きは少量づつしか生産できませんが、あえて石臼でゆっくり回転させて挽いています。 昔ながらのそばの味わいを感じていただくために昔ながらの製法を守っています。 石臼挽きは、荒い粒子と細い粒子が混ざり、甘みのある優しい触感となります。

産地 奥出雲

中国山脈の山間にある「奥出雲」は、おいしい米の産地としても有名ですが、そばの産地でもあります。 寒暖の差が大きいため美味しいそば粉が収穫できます。出雲の神在月の10月に「全国そばまつり」が始まった縁で、昔のように「そば栽培」が広がってきました。 奥出雲横田在来種から新しく開発された「出雲の舞」種での栽培が始まっています。地元の顔の見える生産者さんとの縁を大切にして、「出雲そば」を提供していきます。

自家製・無添加つゆ

木樽醤油を使ったたまき自家製つゆは、1〜2ヶ月熟成された「返し」と「白だし」を合わせて作ります。確かな素材と熟成期間をおくことで、自ずとまろやかな「無添加つゆ」に仕上がります。「蕎麦処・波積屋」から始まってきました。

杉樽木桶の醤油

出雲そばのように全粒を使ったそばには、力強い味わいのつゆが必要です。特に醤油を選ぶのも基本の一つとなります。 松江市石橋町にある150年も続く醤油屋さんとご縁があり、そこの杉樽木桶の醤油を使用しています。醤油蔵を訪ねると、あの独特な芳醇な香りがします。 一歩蔵の中に入ると吉野杉樽の特大な木桶が壮観に並んでいました。蔵には百種類以上の酵母菌が住み着いており醤油の味を守っています。

おろちの伏流水「斐伊川」の水

ここ出雲には、出雲の記紀神話「八俣の大蛇」伝説の舞台である簸の川(今の斐伊川)が流れています。上流には湧き出す「横田の延命水」があるように、斐伊川は「おろちの伏龍水」と讃えられてきました。 「簸川平野」は洪水の災害はあっても、渇水で水が枯れることはありません。「麺作り」「つゆ作り」の美味しさの秘密は、渾渾と湧き出るその伏流水にもあります。